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「そうだよ鬼伯。お頭の言う通りだ。生きていくのにお金は必要なんだよ」
お囃子の音に乗せて幼い声が聞こえたかと思うと、清月の座している窓に影が踊った。
あどけない十三か十四ぐらいの童が、窓の上から頭を突き出し、部屋の中を覗き込んでいる。茶色の短い髪が逆立ったまま、にやりと白い歯を見せて笑った童は、一瞬驚いた表情でこちらを見る鬼伯に向かって、部屋の中に音もなく飛び込んで来た。
「小太郎、何時の間に。お前は漣様と一緒に、紫嵐の里で待つようにって言ったはずだぞ!」
だが鬼伯の小言は沢山だと言わんばかりに、童――小太郎は舌を出した。
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