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男が温度のない目で観察するようにわたしを見ている。
わたしは己の不運を嘆くのを後回しにして、とりあえず自己紹介だと咳払いをした。
「ええと、わたしはリヤーナ14世……14代目リヤーナだ」
「リヤーナ14世?リヤーナはあの星の名だろう」
「ん?」
あれ。わたしが思ってた反応と違う。
「もしや、リヤーナについて知らない…?」
「あの星のことではないのか?」
おおっとぉ!
これは想定外!想定外ですよぉ!!
「王族が知らないってどういうことだ!」
「だから、なぜ俺を王族と判断する」
「リヤーナだからだ!」
「リヤーナとはなんだ」
ピタッと思わず思考が止まる。
リヤーナとは。
一瞬の停止の後、頭の中で“彼女”の声が響いて、へにゃっと笑ってしまった。
それは難しいようでひどく簡単な質問だ。
「あんたの味方だよ」
名も知らない男は、訳がわからないと言いたげに眉間にシワを寄せた。
わたしはシワになった眉間を人差し指で潰しつつ、聞いた。
「で、あんた名前は?」
「不審すぎる魔女に名乗れと?」
「だから味方だって~」
「信じられる要素がどこにもないのだが」
「怪我治してあげたじゃーん」
「虫を出現させる可能性もあったようだがな」
「出現しなかったから良かったじゃーん」
たぶんわたし、こいつの命の恩人だと思うんだけどなぁ?
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