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つまるところ、要約するとこうだ。
ここはどこの世界とも違う特別な空間。いわゆる神のおわす場所。そして俺を地球からある場所へと送るために神鳴り(かみなり)によってこの場所へと、自称神を名乗るジイさんが召喚した。その際、運悪く例のトラックの運転手の視界を奪い、あの事故へと繋がってしまったと…うん、もう神様が全面的に悪いね。
事故のせいで俺の身体は生命の維持ができないほどの損傷を受けたが、どうやら神のジイさんが身体の一部を使って再構築したと、こういうわけだ。っつても、それって髭らしいんだけども。
完全にもげた右腕と、転げ落ちた右目、あと右側頭部。要は上半身の右半分は、ほとんど神様で出来てるらしい…まあ、髭なんだけどな。とはいえ、五体満足にした貰ったのだから、文句は言うまい。
最も、原因はこのサンタクロースだけど!
「それで、なんで俺はこっちに連れて来られたわけ?」
自分の身体を一通り確認したあと、俺は顔を上げて自称神に聞いた。神様に対する言葉遣いとしてはどうかとも思うけれど、もう敬語とかあほらしすぎる。
「なんじゃ、思ったより肝が据わっておるの?普通はもっと混乱するとかあるじゃろ」
「混乱させてる自覚はあったんですね」
すかさず部下がツッコミを入れたが、自称神はわざとらしい咳払いをするだけにとどまった。
実際のところ、混乱は目を覚ますまでに一通りしたおかげで、今はかえって落ち着いている。少なくともサイボーグとかじゃなくてよかったよ、うん。
「あるべき場所へとそなたを還そうと思ったのじゃよ」
「あるべき、場所?」
「そうじゃ、おぬしはもともとこっちの世界に産まれるはずだったのじゃ」
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