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そうですね、と力なく答える声。
たぶん、上司には強く言えないのだろう。それでも、部下の人がこれ以上ないほど苦虫を噛み潰したような顔をしているのが目に浮かぶ。
っていうか、なんなの、ここ。病院なの?
俺、改造的ななにか受けてんの?人間辞める気は、これっぽっちもないんだけども!言っとくけど、悪の組織とも戦う気はないからな。
「それにしても、すごいバランスの悪さじゃのう。ほれ、この体力数値の低さ、女の子にビンタでもされたら死にそうじゃ」
「バランス自体は元から持ってる資質にも関係してるんでしょうけど、数値の低さはこちらに来たことでステータスが初期化されたことが原因かもしれませんね」
なんで女の子?いや、それより弱っ!ビンタで死ぬってどんだけ?え、人間外れるってそっち?
「新しい腕を振り回しただけで反動で身体バラバラになりそうですね」
憐みを込めた声で部下がそういうと、上司はうーんと悩ましそうに唸った。
先ほど、この迂闊な人がくっつけたのは、どうやら腕だったらしい。そして、ひ弱なボディーがそれを扱いきれないとかいう感じらしいな。ほんとになんてモノ付けてくれてんの?
「そこはほれ、加護で保護するからいいのじゃ」
「ああっ!?だからダメですって、貴方が加護つけると……、あ」
だから黙るのやめて、これってなんの相談なわけ?!あ、ってなんだよ!
ずいぶん意識もはっきりとしてきたが、なぜか目を開けることはできなかった。
「こやつがあまりにかわいそうでな。もとはといえば儂たちのせいじゃからな……」
「余計かわいそうなことになってると思いますけどね」
ちょっ、本当にヤバそうだ。早く起きなきゃどんどん改造が進む!
俺は身体を動かそうと躍起になって踏ん張った。その願いが叶ったのか、指がピクリと動く。
あ、起きる……あれ、この感覚覚えがある覚醒夢というやつだ。
なんだ夢か。変な夢みたなぁ…
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