せいぎ

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「君は価値のない人間だ」って 神様に言い渡された16の夏 僕はその場に立ち尽くして ただただ口を開けていた あれからもう4年が経って 僕はもうすぐ20になる 価値がないのは相変わらずで 僕には何にもないんだと思いこんでいた そんなとき、彼女に出会ったんだ 「あなたを愛してる」 その一言で、僕には価値が生まれたよ 神様はそんな僕をみて おもしろくないという顔をした 「そうだ、あの子を奪ってやろう」 神様は彼女を連れ去ろうとした 僕は怒り狂って 神様に思い切り体当たり すると、不思議なことに 神様は悲鳴を上げながら みるみる溶けていって 跡形もなくなってしまった 彼女は言った 「ありがとう、あなたのおかげで  また天に戻れます」 彼女は神様だった 僕が今まで神様だと信じていたのは わるいわるい悪魔だったんだ 神様は悪魔に力を奪われて 天界を追放されていたんだって 「あなたには特別な力があるわ  悪魔はあなたの力を恐れていたの  だから、あなたの力が弱まるように  自信を削ごうとしていたのよ」 僕は価値ある人間だって 特別な人間だって言われた あれほど、 あれほど、望んでいた言葉だったはずなのに。 今の僕には、そんなこと、どうでもよかった。 「…じゃあ、君は。     
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