馳ぜて 溶けて 落ちる

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菜乃は冷蔵庫からペットボトルを取り出し、ごくごくとそれを飲んだ。 肩下までの柔らかそうな髪が、僅かに揺れる。 「美味しいよ、唐揚げ。少し食べたら?」 俺の横を無言で通りすぎようとした菜乃に、そう投げ掛けた。 「夜中に唐揚げなんて、また太っちゃうから」 「太ってないじゃん。て言うか、もうちょっと太ったくらいの方が可愛いよ」 菜乃は両手でペットボトルを抱き締めたまま、ちらりと俺の方に視線を落とした。 何か言いたげなその瞳に、やっぱり腹が減ってたのかと内心で苦笑する。
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