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菜乃は丸い綺麗な瞳で、俺のことを見上げた。
俺は汚い欲にまみれた視線を、菜乃の唇に落とした。
欲しくて欲しくて堪らなかった。
ずっと我慢し続けていて、もう限界なんてとっくに越えていたことを知った。
それでも行動に移さずに済んだのは、父のお陰だった。
「あれ、どうした二人とも」
父はリビングに入るなりそう言って、テーブルに残された唐揚げを見て大きく笑う。
「菜乃花、やっぱりお腹空いてたんだろう」
菜乃は父の優しい笑みを受け取って、少し恥ずかしそうに表情を崩した。
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