917人が本棚に入れています
本棚に追加
夕飯の席で、菜乃が箸を咥えて「幸せ」と呟いたときの表情が。
風呂上がりに、ふわりと掠める石鹸に混じった彼女の匂いが。
夜中に俺の部屋の前を通るときの、ぺたぺたという足音でさえも。
菜乃の存在が、菜乃から生まれる匂いや音、その全てが少しずつ俺を狂わせていった。
菜乃の唇の感触を確かめたい。
その細い首筋に、俺の痕を付けたい。
菜乃の喘ぐ声が聞きたい。
それが涙にまみれたものだったとしても、それでもいい。
菜乃の全部を、俺のものにしたい。
最初のコメントを投稿しよう!