遊園地タノシイ

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. 「彼女ぉ~ こんな遊園地の前に一人でいるなんてどうしたのぉ~?」 「なんならぁ~ 俺らともっとイイトコ行こうよぉ~?」 「人を待ってますから…」 本日三組目のナンパ男に溜め息をつきそうになる楠木紗奈(くすのきさな)。 約束の三十分前に着いてしまい待ち合わせの噴水に座っているだけで声をかけてくる。 今日は遊園地デートのためいつもより気合いをいれ、メイクも服もバッチリ決めてきたのに声をかけてくるのはナンパ男だけ。 「もう二十分位待ってるでしょ~ 俺たち見てたんだからさ~」 「そんな連れなんか置いて俺たちと行こうよぉ~」 「まだ待ち合わせの時間じゃないだけです…」 「そんなこと言わないでさぁ~」 片方の男が紗奈に手を伸ばすが紗奈に触れる前に手首を捕まれ捻り上げられる。 手首を掴んだのは悠だ。 こちらも気合いを入れてきたのか、さらにイケメンに磨きがかかっている。 かけていたサングラスを外し男達を睨み付ける。 「俺の連れになんか用か?」 「ち、違いますよ~ ただ遊ばないかな~と…」 「じゃあさっさと消えろよ…」 「失礼しました~!」 男達は一目散に逃げていった。 見えなくなるまで睨み付けた後サングラスをかけ溜め息をつきながら紗奈の横に座る悠。 「ありがと~ 助かったよ~」 「別に… 少し早く着いたから…」 「ホントにしつこかったんだから~」 「紗奈が今日は一段と可愛いからだろ…」 「気合い入れて来ちゃったんだよね~」 「似合ってる…」 「そんなに言われると照れちゃうんどけど…」 「本当だから気にするな…」 「えっと… ありがとう…」 悠に言われて照れる紗奈は可愛く、ちらちらと紗奈を見る男達をサングラスごしに威圧しながら後十分はある待ち合わせ時間まで二人は過ごした。
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