11人が本棚に入れています
本棚に追加
.
「悠と紗奈~
久し振りじゃ~ん!」
そう言って声をかけてきたのは同窓会で会った同級生の鈴岡彰(すずおかあきら)。
悠の目が細くなり明らかに不機嫌になった。
彰は修一の悪友であり、よく玲二や他のクラスメイトを笑いのネタにしていた。
罰ゲームに男子に女装させたり、1日バカ殿の白塗りで授業を受けさせたりと。
ちなみに彰はそこそこ有名なメイクアップアーティストになったと同窓会で言っていた。
嫌な予感しかしない。
「二人ともデートだろ?
もっと楽しそうにしなよ~」
「紗奈はデートで俺は付き添い…」
「彰…
貴方が来ただけで嫌な予感しかしないんですよ…
何で今日なんですか…」
「なんてこと言うんだよ!
今回は自信作だって!」
後ろを振り向き彰が見た方一組の男女が歩いてくる。
まだ遠いため顔は見えない。
徐々に近付く二人にサングラス越しからわかるくらい不機嫌になる悠。
目が良い悠が相手を確認した瞬間後ろを向いた。
「紗奈…
今日は帰る。」
「え!?
どうしたの?」
「埋め合わせは今度する…
じゃあ…」
そのまま歩き出した悠を見た二人組の女の方が走りより後ろから抱きついた。
悠は不機嫌なまま声をかける。
「お前が女装趣味を持ってるなんて知らなかったよ…
玲二…」
そう歩いてきていたのは修一と玲二で玲二の方は少し前に悠が着せたワンピース姿。
メイクもしていて周りから見れば完全に女子。
顔は良く体の線も細いため女装していても違和感がない。
「違う…
彰が罰ゲームで…
悠とデートだって…」
「弱いのに賭けに乗るからだろ…
自業自得…」
そのまま歩こうとするが玲二が抱きついたままで歩けない。
周りから見たら普通の男女の痴話喧嘩に見えるのかチラチラと視線も感じる。
「お願い!
女装で一日デートが罰ゲームなの!
悠が帰ったら別の日にまたしないといけないの!
お願いだから…
一日だけ…」
涙目で訴える玲二にため息をつく悠。
最初のコメントを投稿しよう!