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観覧車を降りた先に紗奈と修一が待っていた。
玲二は紗奈に駆け寄ると今日あった事を少し興奮ぎみに話す。
変わりに修一が悠のところに来た。
「デートはどうだった?」
「俺はデートじゃない…
デートだったのは修一だろ?」
「計画したのは紗奈と玲二だ。」
「やっぱりな…」
ため息をつくと胸ぐらを掴み自分に引き寄せる。
そして朝見せたよりさらに冷たい目で修一を見る。
「お前には話したはずだよな?
俺の愛情がどれくらい歪んでいるか…」
「しかし悠…」
「幼馴染み…
それが俺のボーダーだ…
踏み込ませるな…」
「どうしてなんだ…
悠は玲二の事が…」
「それ以上言うな…
頼むから…」
突き飛ばすように修一を離すと背中を向け歩き出す。
「先に帰る…」
それだけ言うと悠はそのまま遊園地を出ていった。
立ち去り見えなくなるのを呆然と見ていると紗奈と玲二が声をかける。
「あれ?
悠帰っちゃったの?」
「紗奈と一緒にお土産選ぼうと思ったのに…」
「俺が怒らせた…
お節介が過ぎた…」
『何してるの!!』
二人同時に言われ軽くショックを受ける修一。
紗奈と玲二がメールや電話をしても通じない。
『修一の馬鹿!!』
さらに二人に言われ修一は地面に座り込む。
「どうしよう…
悠と連絡つかない…」
「大丈夫!
きっと事情があるんだよ!
写メ撮ってたから電池少なくなったとか!」
「今日悠に迷惑かけたから怒ったのかな…
どうしよう…」
「大丈夫!」
そんなとき玲二のスマホに悠から着信が入る。
慌てて取る玲二。
「ももももももし!?」
「もが多い…
紗奈と二人で何の嫌がらせだ…」
「悠が怒って帰ったって…
連絡つかないし…
ごめんなさい…」
「ちょっとイライラしてただけだ…
車の運転中はスマホ触らないだろう…」
「あっ、今日車だったんだ…」
「基本電車は乗らない…」
「ねぇ近くまで乗せて?」
「…そうだな…
修一をボンネットにはりつけてドリフトしてからで良いならかまわない…」
「紗奈~
修一をボンネットにはりつけてドリフトしたら車に乗せてくれるって~」
「良いわね~」
「良いわけないだろ!」
待ち合わせの場所に怪しげな笑みを浮かべながらロープをいじる悠を見た修一が一目散に逃げたのは言うまでもない。
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