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第七話 『審判』、再生・新しい自分へ
自室にて、タロットを展開する翡翠の姿。その姿は希望に満ちてキラキラして見える。
「これからの私のキーワードは?」
という事に対してマルセイユ版タロット大アルカナ22枚で占っているのだ。一枚引いてみる。
「『審判』か。再生、新しい自分に生まれ変わる……か」
そして傍らの携帯を握り締めた。時任奏芽を思い浮かべる。
「仕事に依頼だもの。別に他意は無いんだし、そんな緊張する必要ないじゃない」
と苦笑する。『家族に自分の意志を伝えた、これからイベントに参加したりして会話術、接客力をつけたいからプロデュースなどの相談をしたい』と仕事の依頼のメールを送るつもりだった。
『夜分に失礼します……』
取りあえずメールを打ちこんでみるも……
「これなら明日の朝メールすれば良いんじゃ……。何だろう? 仕事以上の何かを彼に期待してるのかしら。それこそ自意識過剰の身の程知らずだ。あんな素敵な人、仕事のクライアントだから親切にしてくれるだけだし。うん、そうそう、例えるならホストみたいな感じなのよ、うん」
自分に言い聞かせる。
「うん、もう考えるのは辞めた。また明日だ。何だか疲れたし、このまま今日は寝てしまおう!」
と立ち上がったその時、メールの受信音が響いた。ドキッと心臓が跳ねる。画面を見ると、メールの送り主は
『時任奏芽』
その人だった。
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