第三話 逆襲、そして……

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 それから時は巡り、時代は昭和から平成に入る。  セイタカアワダチソウは最早野原や土手、空き地を埋め尽くす勢いで栄華を極めていた。だが、ここに来て少しずつその勢力に衰えの影が見え始める。 「……彼らは、周りの動植物を退ける毒をまき散らして繁栄し隆盛を誇りますが、どうやら大地の栄養分が空になって、自滅していく特徴を持つようです。この現象をアレロパシーと呼ぶそうです」  尾花は茅に説明をしていた。他に露見草大尉、振袖草注意、乱草少尉が控えている。 「なるほど、やがて自らの毒で滅亡していく……と言う事か。皮肉な宿命だな。自業自得、と言えなくもない」  茅はほくそ笑んだ。それは皆同じ思いだった、この日をどれほど待ち望んで来た事だろう? 「ええ、その通りです」  尾花の肯定の意を聞くなり、茅は冷たい笑みを浮かべた。 「露見草大尉、全芒、及び全ての草花に伝えよ! 今こそ、積年の雪辱を晴らすべき時が来たと!」 「はっ!」 「振袖草中尉と乱草少尉は、我ら全芒に長年蓄えてきた、他の植物よりも効率よく光合成が出来る力を存分に発揮せよと。我らは、彼らが枯渇させた大地に滋養と力を与え、毒を消化分解出来る力を活かす時が来たのだ! 我らが勢いを取り戻す事によって、大地は再び正常に四季折々の和の植物も復活を遂げるであろう。秋の七草を、本来の姿に!」 「「御意」」  にわかに活気づく芒たち。間もなく眠っていた他の植物たちも目覚め始める。
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