第七章 眠る猫、狂う猫 二

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 食事の時間になると、どこからともなく人が集まってきて、それぞれ好きな場所で食べ始める。食事の後で報告会にしようとしていたが、それぞれに言い始めていた。 「ゲイカップルから人形を譲られてきたでしょ。死保に持って行ったら、死保が呪われていたよ」  寒河江が人形を持ち帰っていたのだ、それを広井が死保の現世チームに渡したらしい。すると、人形を渡された人が事故にあい病院に運ばれ、代理で持って帰った人が、その後の食事で食中毒になった。 「魂の所在よりも、呪いの所在を感じますね」  桜本は、鍋をつついているが、その横に瀬谷が座っていた。瀬谷は、食べながらも桜本の尻を掴んで揉んでいた。桜本は嫌がって席を移動するが、瀬谷も付いて移動していた。 「呪いの方程式は存在するからね。負の要因というのは、伝染する」  瀬谷は学者なのに、ホラーやオカルトを肯定しないで欲しい。 「人を不快な気分にさせる、負の現象は人に不安定さを与える」  道からはみ出して岩のあるような家、見通しを悪くする樹木、そういう些細な負の現象も、日々が重なると強い負になる。そういう負がある家の者は、自殺をしやすい。常に誰かに、罵倒されている雰囲気になるからかもしれない。 「……瀬谷さん、ここの食費を上げないでください……」  既に炊飯器を抱えて広井と、玉川が食事をしていた。ここのチームの一番の出費は、食費かもしれない。 「食事のお礼に、人形の製造元は教えてあげよう」  瀬谷は死保から人形の情報を貰い、大学のゼミの学生に調べさせたらしい。すると、あれこれ詳しく調べてくれた。
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