第八章 眠る猫、狂う猫 三

6/10
前へ
/87ページ
次へ
 少し車で移動し、小さな公園に車を止めると公衆トイレのドアで、元の大きさに戻った。 「寒河江、高原さんの行方は分からないかな?」 『追ってみます』  寒河江が防犯カメラで追ってみると、高原は車を降りて吐いていたようだ。そこに田中がやって来ていた。  田中はかなり驚いて、高原の介抱をしながら自分の車に乗せていた。でも、その時に、田中は高原の携帯電話を取ると、高原が乗っていた車を見つけて、車内に投げ込んでいた。 「寒河江、田中さんの携帯電話の所在を追ってよ」 『自宅から動いていませんよ』  では、田中は携帯電話を持っていないか、他の電話を使用している。携帯電話で、所在を追われる事を避けているのだ。  高原は頭痛で、警告が分からなかったのかもしれない。 「寒河江、高原さんに警告は出ている?」 『市来には出ていないの?俺は黄色の点滅で、高原さんは真っ赤で点滅も消えたと思うよ』  点滅が消えると、そう長くは持たずに、消滅してしまう。早く高原を探し出し、田中から離さなくてはいけない。 「サイズが小さい時は、警告が鈍るみたいだ……寒河江、田中さんの車を追ってみてよ」 『やってみているけど、どうも、ラブホに入った感じがする』
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加