第九章 眠る猫、狂う猫 四

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「明海、憑依の切り離しはどうやってするの?」  明海は高原の匂いを嗅いでから、噛んで味を確認していた。 『言いたくないけどさ、高原さんに憑依したまま息子は死保に来ていたのでしょう ……俺のこの身体と一緒だよね……』 明海は猫に憑依したまま死保に来ているが、猫の憑依を解いた場合は、 猫は死んでいるという。 「猫は死んでいるの?」 『まあ俺と同じく死保留中の身分になったのさ……』  生きている状態では、死保に出入り出来ないらしい。 『市来のような特殊な存在は別にすると、基本的には皆、現世では死んでいる。 もしくは、死に瀕している』  甲斐は、新悟に頼み、高原を居間に運んで貰っていた。 田中も一緒に居間に行くと、高原の手を握っていた。
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