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その茂みには2羽のイワヒバリの巣があった。そして巣の中のたまごを狙っているヘビを追い払おうと一生懸命羽ばたいたりさえずったり、茂みの中で騒いでいた。
ホシガラスは、わざと大きな音をさせて茂みの枝に止まって、バサバサと羽ばたいた。枝が大きく揺れてヘビの身体に当たったので、ヘビは驚いて逃げていった。
イワヒバリたちは、まだブルブルと震えていた。
ホシガラスは「ヘビはもういないよ。それじゃ。」といって飛び立とうとすると
イワヒバリたちが「ありがとうございました。少しここで休んでいきませんか。」と
声をかけてくれたので、しばらく茂みのそばで休むことにした。
「助けてくださってありがとうございます。」
「どういたしまして。お役に立ててなによりでした。」
「ところで、あなたはどこに行くのですか?このあたりでは見かけないお姿ですが。」
「この山の白い色を少し私の羽にもらえないかと思って里の森から来ました。」
「白い色を・・・ですか。そういえば、もっと上のほうには白い鳥がいますよ。」
「そうなんですか。やっぱり白い山だから白い鳥がいるんですね。」
「それは分からないですけど、ライチョウという鳥です。ただ、ライチョウのいるところは、天気が変わりやすいですよ。今は晴れておだやかですけど急に強い風が吹いたり雨になったりカミナリがなったりしますから。」
「ありがとう。行って見ます。」
「気をつけてくださいね。天気が悪くなったら無理しないほうがいいですよ。上のほうには、こんな茂みもありませんし。」
晴れて天気が良く、イワヒバリたちが心配したような天気になるような気配は全く感じられなかった。ホシガラスはイワヒバリにさよならをいって、上へ上へと飛んでいった。日が当たっているのに、黒いからだがちっとも暖かくなく、なんだか寒く感じるのが妙だと思うくらいだった。
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