3食目 枕

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これは、私が大学生の時に体験したお話になります。 とある学部に進んだ私は当時、グループで色々な実験を行っていました。 この実験というのが、結構手間のかかるのばかりでして、時に泊まり込みで実験を行うこともありまひた。 そんな泊まり込みをする学生のために、実験室のすぐ隣には仮眠室があり、そこにはちょっと年季が入っていましたが布団と枕がありました。 ある日の事、とある実験に参加していた私は仲間数人と泊まり込みで作業をすることになり、交代で仮眠を取ることになりました。 あれは、午前3時頃だったでしょうか………私の仮眠の番になりどっと疲れが出たのもあって、私は布団に横になるとすぐに眠りの世界へ旅立とうとしました。 ところが、何故か耳元で話し声が聞こえて眠りを妨げてきたのです。 身体を起こして辺りを見渡しても誰もおらず、もう一度横になったのですが何故か耳元で話し声が聞こえたのです。 一瞬、仲間達の話し声かと思ったのですが、実験室には防音壁があり、話し声など聞こえるはずもないのです。 おかしいと思いながらも早く寝たくて、もう一度身体を横にしました。 私は寝るときは仰向けでは寝れず、いつも横向きで耳に枕をくっつけて寝るのですが、よく耳を澄ませると話し声は枕から聞こえてきたのです。 慌てて身体を起こそうとした瞬間、耳に強い痛みを感じ慌てて枕を引き剥がすと、何と枕に大きな口がついていたのです。 口の端からは血が垂れていて、私の目の前で口は舌打ちをすると地の底から響くような声でこう言ってきました………。 『アト、スコシダッタノニ………』 そこからは、あまりよく覚えていないのですが気づけば医務室に寝かされていました。 運んでくれた友人曰く、私は枕が!枕が!と叫びながら実験室に飛び込んでくるなり、そのまま倒れてしまったのだそうです。 耳には治療の跡があり、どうやら私の耳たぶに噛み傷のような痕があったらしく、そこから出血していたそうです。 私は友人たちにこの枕の事を話したのですが、当然誰も信じてくれませんでした。 それ以来、私は仮眠室で寝るときは必ず自分専用の枕を持ってきて寝るようになり、件の枕を使うことは二度とありませんでした。 あの枕にあった口はなんだったのか………それは今でも分かりません。 ただ、一つだけ昔あの仮眠室でバラバラ殺人があり、頭が枕の中に入っていたとか………。
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