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「噛みつく枕とかホラーじゃん
ってか、ある意味こんな枕に当たったら嫌だよな」
そんな感想を述べる俺を、クスクス笑うみつ。
あれから、店員に色々勧められてみつはちょっと値は張ったものの無事に枕を購入した。
「ありがとう、枕を使うのなんてすごく久々だわ」
「よかったじゃん、今日から枕で快眠生活じゃん」
そう言う俺に、みつは再びクスリと笑うとでもね………と口を開いた。
「でもね、私本当は一番大好きな枕があるの」
「え、枕持ってんの?」
そう言った俺に、みつはスッと俺の横に来ると、俺の二の腕を白魚のような指先でツツッ………となぞるように撫でた。
「この枕よ、昔よくしてくれたじゃない」
そう言ったみつに、俺はそういえば………と幼少の頃の思い出した。
確か、みつがほぼ我が家に住んでいた頃、当時俺とみつは布団を並べて寝ていたんだけど、ドラマか何かを見て影響された俺は、カッコつけたくてみつに腕枕をしてたのだ。
「私、あの枕がすごく安心したのよね」
そう嬉しそうに話すみつに、要望があればまたするけど?と言えば、みつはありがとうと花が咲いたかのような笑顔を見せてくれた………。
一つの物語が終わる度に、日常は進む。
彼女の怪談はどことなく味を感じた………。
3食目、完食。
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