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大学入学まで後数日というある日、俺とみつは二人してみつの部屋の片付けを行っていた。
というのも、ベッドやら机やらは流石に手で持って帰れないから送って貰ったのだけれど、それが今日まとめて届いたのだ。
「みつーこれどの辺に置く?」
「そうねぇ………じゃあ、この窓際に置いてもらってもいいかしら?」
「分かった」
ベッドを組み立てたり、本棚を二人して組み立てていきながらも、割と順調に作業を進めていく俺達。
と、ここでちょっと休憩したら?と俺の母親が飲み物を持ってきてくれて、俺とみつは少し休憩することにした。
「ふー、割と早く作業終わりそうだな」
「そうね、手伝ってくれてありがとう」
そうクスクス笑うみつに、照れながらも返事を返しながら部屋を見渡すと、ふと部屋の隅にかなり年季の入ったスーツケースが1台置いてあるのを見つけた。
「なあ、あれってみつの?」
「ええ、そうよ」
銀のスーツケースは、かなり長く使い込んでいたのだろう所々剥げていて、取っ手の部分が少し欠けていた。
そのスーツケース以外、荷物らしきものが置いてなくて、もしやと思いみつに荷物あれだけ?と聞けば、みつはそうよと頷いた。
年季の入ったスーツケース
それに色々垣間見てしまって、何だかほんの少し胸が締め付けられた気がした………。
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