4食目 スーツケース

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これは、とある航空会社に勤めていた先輩職員から聞いたお話になります。 今は少し改善しましたが、少し前まで空港にスーツケースを捨てていく人が多かったのです。 多分捨てる理由は人それぞれだと思うのですが、空港にスーツケースを捨てられると、規則上すぐには処分することが出来ないんですよ。 その為、捨てられたスーツケースは空港の敷地内にある倉庫に一定期間保管されるのですが、ある時からその倉庫で不思議な体験をする職員が続出したんですって。 その不思議な体験と言うのが、倉庫に入ったらしっかり施錠していたはずなのに、子供の鳴き声が聞こえた。倉庫で一人作業をしていたらいきなり、大声で助けてくれ!と叫ぶ声が聞こえた………と、そんな体験をする職員が相次いだのです。 先輩もまた、一人作業をしていたら子供の泣き叫ぶ声が聞こえて、慌てて辺りを見渡してもそこには子供もいなかったし、そもそも航空会社の作業場はセキュリティーが厳しいので子供はまず入れないのです。 あまりにもそういった不思議な体験が相次いだので、ある日思い切って職員総出で本当はいけないのですが、倉庫に保管されているスーツケースを全て開けたのです。 ところが、すべて開けたのはいいものの、特に変わった物が入っていたわけじゃなくて、じゃああの声は一体何だったのか?と職員達が頭を抱えていたところ、一人の職員がいきなりスーツケースを工具を使って解体し始めたのです。 すると、解体されたスーツケースの中からバラバラになった子供の白骨遺体が出てきたのです。 これには、他の職員達も悲鳴を上げ、中には気を失ってしまう職員もいたそうなのですが、何とか手分けしてスーツケースを解体したところ、何と数個のスーツケースからバラバラの遺体や骨が出てきたのだそうです。 すぐに警察に来てもらい調べてもらったところ、出てきた遺体は経過が激しく粗雑に扱われていたのか、骨に直接傷がついていたのもあったそうです。 結局、遺体は警察に引き取られ現在も身元を調査中だそうです。 もしかすると、あの声は自分達を見つけてほしかった遺体の声だったのでしょうか………? 倉庫はお祓いをしてもらった結果、変な声は聞こえなくなったそうなのですが、しばらくするとまた変な声が聞こえるようになったそうです………。
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