5食目 答辞

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桜が舞い散る季節………今日、俺は遂に大学の入学式を迎えたのだ。 朝から着なれないスーツに袖を通し、母親からアンタ忘れ物してないでしょうね!?と突っ込まれながらも、どこか慌ただしい朝を過ごしながらも、俺は今大学の講堂で入学式に参加している。 中学高校とはまた違う雰囲気の入学式は、着なれない新品のスーツも相まってか若干緊張してしまう俺。 とここで、新入生代表の答辞というアナウンスが聞こえ、心でこういうのって話が長くなるからちょっとつまんないんだよなーと呟いた瞬間だった。 突如周囲がざわつき、ハッと顔を上げた瞬間俺は壇上にいた人物に、思わず驚きの声を上げかけてしまった。 凛とした雰囲気で壇上に上がり、来賓に頭を下げ今まさに答辞を読み上げようとしている人物………なんとそれがみつだったからだ。 「厳しい寒さも終わり、春の息吹を感じられるようになりました 本日は、このような盛大な入学式に………」 数日前に、みつが同じ大学に通うというのは知ったけれど、まさか答辞を読むという話は聞いていなくて思わず固まっていると、周囲からヒソヒソとみつに対する声が聞こえてきた。 「あの子、めっちゃ可愛いよな!ってかレベル高くね!?」 「今年の首席だってよ」 「さっき職員の話ちょっと聞いたんだけどさ、あの子本当ならここじゃなくてあの名門大学にも首席で合格できるレベルだったんだって」 「え、マジで!?じゃあ何でこの大学に来たんだろうね」 そんな周囲の声が聞こえる中、みつは淡々とだけど凛とした姿で答辞を読み続ける。 その姿に、俺はどことなくみつが遠い存在に見えた気がしてならなかった………。
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