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これは、私の通っていた高校に伝わるお話になります。
私の通っていた高校は少し変わっており、何故か入学式で新入生は答辞を読まないのです。
というのも、これにはちゃんと理由があって、実は私の通っていた高校では入学式の時に新入生が答辞を読むと、その読んだ子が亡くなってしまうからです………。
実は私の通う高校には、答辞の魔物と呼ばれる幽霊がいるのです。
その正体は、本当なら入学式の時に答辞を読むはずだったとある生徒でした。
この高校は、かなりの進学校でこれはあくまでも噂だったのですが、答辞を読んだ生徒は名門大学に推薦してもらえるという話があったのです。
その生徒………仮にAさんとしておきましょうか、Aさんは家が貧しくて父親がおらず、母親が朝から晩まで必死になって働き、Aさんは母親に早く恩返しをしたくて、必死に勉強し見事主席の座を得たのです。
ところが当日になって、答辞を読む生徒が変わったと教師から告げられたのです。
原因は別の生徒の親がコネで半ば無理やり、新入生代表の座を奪ったからでした………。
しかも最悪な事に、その奪った子の親というのが何と、Aさんの実の父親だったのです。
実はそのAさんの実の父親は不倫をした挙句、まだ幼かったAさんと母親を捨てて別の家庭を築いていたのです。
Aさんその事実を知って大変ショックを受け、気がおかしくなってしまったのでしょう………何と、生徒が答辞を読み上げている最中に、壇上に上がり目の前で首を掻き切って亡くなってしまったのです。
その光景がまた凄まじかったらしく、すぐに入学式は中止になり、そして答辞を読み上げていた生徒もまた同じように自殺をしてしまったそうなのです………。
それ以来、答辞を読む子は皆Aさんと同じように首を掻き切って亡くなるので、入学式で答辞を読むことを止めたのだそうです。
実は何年か前に、一度答辞を復活させてもいいのでは?という話が出て、ある生徒が答辞を読もうとした瞬間、何もないのにいきなり生徒の首から血が出てきたので、慌てて中止したそうです………。
まあ、その生徒って私なんですけどね。
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