6食目 サークル

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さてさて、大学生活が始まった俺だけれど、まだ数日だからか毎日が新鮮だ。 中学高校とはまた違う雰囲気の教室、広いフロアに思い思いの私服で楽しげに笑う学生達………。 キラキラした、ドラマとかでしか見たことがない大学生活を今まさに送っている俺は、若干まだ浮かれ気分が抜けないでいた。 そんな新入生の俺は、最近よくあるものを貰う。 それが何かというと………。 「カメラサークルに囲碁サークルかぁ………」 鞄から貰ったあるものを取り出して眺める俺、それはサークル勧誘のチラシだった。 新入生ということもあって、入学式が終わった後や教室を出たりすると、よくサークル勧誘のチラシを貰う。 サークルって、部活とはまた違う雰囲気がありそうだよなぁ。 個性的なサークルもあるし、それにサークル次第では就職に有利って話も聞いたりする。 中学高校は、特に部活をしていなかったけど、これを機会に思いきってサークルにでも入ってみるかな?と、思っていると玄関の開く音が聞こえて、しばらくすると若干疲れた顔のみつが部屋に入ってきた。 「お帰り、何か疲れてんじゃん」 「ただいま………しつこいのよ」 ハァ、と溜め息を吐きながらも鞄を下ろすみつ。 その鞄から紙の束のような物が見えて、みつが紙の束を取り出すと、何とそれは全てサークル勧誘のチラシだったのだ。 新入生代表として答辞を読んだみつ、そのみつの噂はあっという間に大学中に広がって、よくみつが声をかけられていたのは知っていたけれど………。 「テニサーに、フットサル、それに野球にイベサーって………」 「無理矢理突っ込まれたのよ、断ったのに」 みつが貰ったサークルのチラシ、そのどれもが花形と呼ばれるサークルはがりで、その圧倒的数に何故かほんの少しだけ泣きそうになった俺がいた………。
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