怪談女の優美な食悦

8食目 ペンケース

そんなキモ子の死から数週間後の事でした………。
いつものように、朝学校に来て机の中に教科書やらペンケースを入れようとした瞬間、ペンケースから異臭がしたのです。

何か変な物でも入ってしまったのか！？と思い、慌ててペンケースの中身を出したのですが、特に変わった物は何も入っておらず、だけどペンケースからはツンと鼻につくような異臭がしたのです。

それは、私のペンケースだけでなく他のクラスメイトも同じで、不思議なことにいくら洗ってもペンケースの異臭は取れることはありませんでした。

更に数週間後、教室に入るとクラスの特にキモ子を酷く苛めていた女子数人が青ざめた顔で泣いていたのです。
どうしたのか聞けば、震える手でペンケースを指したので見ると、どこか見覚えのある似顔絵が刺繍されていたのです。

どうやら、ペンケースを取り出したらいつのまにか刺繍されていたらしく、一人が泣きながらこんな事を言っていました。

この刺繍はキモ子がしたやつだ、私達はキモ子に呪われてしまったんだと………。
よく見ると、刺繍の似顔絵はキモ子に似ていて、顔を近づけると刺繍の部分から強く臭いがしたのです。

そこでやっとこの異臭と前に体験したペンケースの異臭は、思い出せばキモ子の体臭と同じ臭いだったことを思いだし、クラス中が一気にパニックになり、皆で泣きながら近くのお寺に行って必死にキモ子にごめんなさいと謝り続けました………。

その後、不思議なことにペンケースの異臭と刺繍は消えたのですが、もう二度とペンケース交換をすることはなくなりました………。

ここで話が大団円に終わればよかったのですが、実はキモ子の呪い………まだ続いているのです。

実は例のキモ子を酷く苛めていた女子数人なのですが、最近結婚して妊娠したのですが、腹部から異臭がすると言い出し、実際に嗅いでみたところキモ子の体臭と同じ臭いがしたのです。

もしかすると、まだ先ですがキモ子に再会するかもかもしれません………。