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これは、祖母から聞いたお話になります。
私の祖母が子供の頃住んでいた地域では、住人達は必ず塩を持ってないといけないという決まりがありました。
大人も子供も、必ず塩を持たなければならず、ちょっとでも持ち忘れると酷く叱責されるのです。
何故なら、塩を持っていないと塩嫁様がやって来て、塩を求めるからなのです。
塩嫁様と言うのは昔、塩を製造する家に嫁いだ女性がいたのですが、その家の姑がかなり嫁いびりの酷い人で、旦那も嫁が悪いと言うだけで全く助けてくれず、お嫁さんは毎日泣いていたのです。
そんなある日、塩が一粒も出来てないという大事件が起きてしまったのです。
原因は、旦那と従業員の不手際なのですが、何故か姑それから旦那は嫁が悪い!と、嫁を叱責し罰として炎天下のなか嫁を外に放り出したのです。
その日は酷く暑い日で、嫁は必死に家に入れてくれと訴えたのですが、旦那と姑は従業員にも命じて、嫁を家に入れませんでした………。
ようやく、嫁が家に入れてもらった時、嫁の衣服には汗をかきすぎて塩が出来ていました。
それを従業員が一口舐めてみると、なんとこの塩がかなり美味だったのです。
旦那も姑も一口舐めてみたところ、こんな旨い塩は食べたことがないと言い、試しに売ってみればなんとあっという間に売れて無くなってしまったのです。
これに味をしめた姑と旦那は、何と嫁を炎天下のなか、棒に身体をくくりつけて動けないようにし、塩を作るように言ったのです。
嫁は必死にやめて!助けて!と訴えたのですが、金に目が眩んだ旦那と姑、それから金を握らされた従業員達は嫁の訴えを聞かず、次々と出来る塩を採取し売ったのです。
しかも、泣く嫁をうるさいと叱責し、他の住民にバレたらまずいからと、嫁の口を縫ったせいで嫁は喋る事が出来ず、とうとう亡くなってしまったのです。
その死体は、身体中の水分が全て無くなり、まるでミイラのようだったそうです………。
それ以来、この亡くなった嫁が幽霊として現れるようになり、塩嫁様と呼ばれるようになったのです。
塩嫁様は現れると塩をくださいと言ってくるので、塩をあげるとそのままスッと消えるのですが、もし塩を持っていなかったら浚われて、口を縫われ棒に縛り付けられ死ぬまで塩を作らされるのだそうです………。
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