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「夜中に誰もいないのにカタカタ聞こえたら恐怖倍増だよな………
なんていうか、ブラック企業反対って言いたくなる」
相変わらず的はずれな感想を述べる俺を、クスクス笑うみつ。
あれから目を覚ませば、軽く2時間は経っていてその間みつはずっと、パソコンの画面に向かってキーを叩いていたらしい………。
「何かまだ眠い………」
「あら、あんまり寝過ぎると頭痛くなるわよ?
今コーヒー淹れたからこれ飲んで」
はい、とみつに手渡されたコーヒーを飲めば少しずつだけど、ぼんやりした頭が覚醒していく。
その間も、みつはキーボードを叩いていて、その様子がまるでピアノを弾いてるかのようで、ついつい眺めてしまった。
「何か………綺麗だな」
「え?」
「みつがキーボード叩くの、何かピアノ弾いてるみたいっていうか、指綺麗だから様になってるよな」
そう思わず言ってしまった俺に、みつは何いってるの?と苦笑すると、再びパソコンの画面に向き合ってしまった。
だけどその日の夜、風呂上がりにハンドクリームをつけて熱心に手をマッサージするみつを見て、やっぱり可愛いよなぁ………と、ついつい思ってしまったのだった。
一つの物語が終わる度に、日常は進む。
彼女の怪談は、どことなく味を感じた………。
10食目、完食。
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