【特別書き下ろし】虫酸家族(むしけら)

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「オレは帰りが遅くなるから…事務の人間の手違いが原因で山越のハトマートに送る予定だった商品が届いてへんかったトラブルが発生したのだよ…さっき上から電話があってあやまりに行けと言われたのでこれから松山へ行くから…ったく…『休みたい』『早く帰宅したい』『遊びに行きたい』…自由と権利ばかりを主張しているクソバカ従業員のせいでオレの人生がズタズタにこわれてしまった…こんなことになるのだったらショッケンやめるべきだったわ…ワーッ!!」 (バーン!!) 晴彦は、強烈な声で叫んだあと部屋のドアを激しい力を込めてしめてしまったのでありました。 激しい力でイカクされたよしえは『なんでダンナはアタシにばかり暴力をふるうのかしら…アタシになんの落ち度があると言うのよ…』と想いましてひどく落ち込んでいました。 学夫婦に気に入られるようにと思って一生懸命になって努力をしていると言うのに、義妹であるはなから『役に立たない兄嫁だ』と言われていびられてばかりいるので面目丸つぶれになったと思い込んでいたよしえは、学夫婦とはなを激しくうらんでいたのと同時に『隈代の家を壊滅させてやる!!』と言いまして激しくうらんでいました。
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