■第三章 アンゴラ兎興農社、解散

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 そうすれば、訪問してきたのが怪しい男であっても無碍に門前払いを食うことは少なくなる。しかしそれは── 「あんぢゃ。そんなこどしだら、後に引けなぐなるぞ」  アンゴラウサギの養兎事業と心中することを意味する。人に社長を頼めば、失敗してもこれまでのように道の半ばで放り投げることが許されなくなる。もし放り投げれば、一切の信用を失い憲三は実業家生命を絶たれる。 「覚悟の上での結論だ、幸男。俺は、この事業……アンゴラウサギに全ての命運を賭ける」
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