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面倒くさかったが、メールで「昼間の電話何だった?」と打ち込む。
忙しかったから感情的になった。ごめんと続くはずが、その後のやり取りを思うと、疲れすぎて気分が滅入り、そのまま送信する。
いつもはすぐに返ってくる返事が、数分経っても来なかった。
何だよ。本くらいでへそを曲げるなんて、幼稚な態度をとるなと湧いた怒りが、ソファーと同化していた腰をあげる動力となり、何とかシャワーを浴びる。
冷蔵庫のレトルトを温め、もう慣れ過ぎて、美味しいともまずいとも思わなくなったグラタンを、ただエネルギー補給の為にビールと一緒に流し込んだ。
スマホを見たが、シャワーを浴びている間にも着信履歴は無かった。
本一冊の感想で、ここまで抵抗されるとは思わなかった。
それは、自分の言い方も悪かったけれど、忙しいのはいつも理解してくれていたじゃないか。 一体、今回に限って何なんだ!
不安とも怒りとも区別がつかない感情を持て余し、博士はベッドに置いてあったその本を手に取った。
仕方ない。読めばいいんだろ?読んで妻が納得する誉め言葉をメールすれば、こちらの努力も汲んでくれるだろう。
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