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「君が反省することはない。むしろ、私こそ、驚かせて済まなかった。君を呼び出して、見舞いをさせたのは、私なのだからな」
「体のほうですが、だいぶ回復していますね。人間離れしている、と言ったほうがいいかも知れませんが」
「彼女は、人間ではないからな」
そう言って、ジェイナスが言葉を切った。そして、しばらく沈黙すると、ふたたび口を開いた。
「やはり、君には話しておこう。――彼女は、吸血鬼(ヴァンパイア)だ」
「ヴァンパイア?」
「便宜上の呼び名だ。『吸血種』と呼ぶ者もいる。吸血の習慣を持つ、人類の亜種、という意味だ」
「……」
「いつ、どのようにして、彼女たちが姿を現したのか、さだかではない。学者の中には、隕石に付着していた吸血ウィルスが、人類に寄生して発生した新種だという者もいる。進化の過程で枝分かれした、新人類という説もある」
「彼女たち……。ユウキひとりではないのですか?」
「合衆国政府は、約三百の個体を確認している。ユウキの母親のミランダも吸血鬼で、政府の監視下にあった。娘のユウキに、彼女の吸血因子が遺伝していることも、調査済みだった。
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