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水晶が、ちいさな悲鳴を上げる烈花の尖った舌が、水晶の白い背を舐め下ろした。
「あなたの躰、素敵な匂いがするわ……。こんないい匂いがするなら、きっと、あなたの血も素晴らしい味がするわね」
「やっ、止めてっ……!」
水晶の叫びを無視するように、烈花の指が腰を下り、臀部の膨らみから前へ回って、水晶の柔らかな繁みへと入り込んでゆく。
「止めてっ……。いったい、何をする気なのっ……」
「怖がることはないわ。気持ちよくしてあげるだけよ」
豊かな乳房を弾ませながら、反応する水晶に、烈花が満足そうな笑みを浮かべた。
「吸血鬼に血を吸われるのって、とても気持ちいいことなの。セックスなんか比べものにならない、強烈な快感を味わえるわ」
闇の中、紅い唇が水晶のうなじを這って、ちいさな牙を首筋に突き立てた。
「ひ……っ」
「でも、問題がひとつあるの」
悩ましげに躰を密着させながら、烈花が続けた。
「ひとつは、自分も吸血鬼になって、血を吸わずには生きていけなくなること。もうひとつは――吸われる血の量が多すぎると、失血多量で死んでしまうことよ」
「あ……」
水晶の声が、微妙に変化する。顔に浮かんだ恐怖と嫌悪が、驚きを経て、陶然とした快楽の表情へと変わってゆく。
「あっ、なに……。何なの、これ……」
「ふふっ……。どう、気分は?」
予想を遥かに超える、凄まじい快感。烈花の指が、敏感な部分を弄ぶたびに押し寄せる絶頂に、水晶が喘ぎ泣く。
「どう、気持ちいい?」
烈花が、顔を上げた。「素敵よ、あなた。跪いて許しを乞うなら、下僕(しもべ)として、生かしておいてあげても良くってよ」
「こ、殺しなさいっ」
水晶が、かすれた声で叫んだ。「あなたなんかに、命乞いなどしないわ。絶対にっ……!」
「素直じゃないわね」
烈花の双眸が、闇の中で、紅く輝いた。
「強情を張っても無駄よ、水晶。いちど血を吸われる悦びを憶えたら、もう人間には戻れないわ。
――私と一緒に、闇の中で暮らすのよ。水晶」
「ああーっ……」
水晶が、絶唱のような歓喜の声を上げる。「お、お願い、殺してっ……。このままじゃ、私、狂ってしまうっ……」
烈花が、水晶の躰をまさぐりながら、ふたたび首筋に牙を立てる。女憲兵の歓喜の声を、彼女を取り囲む石牢が、満足げな沈黙とともに飲み込んでいった。
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