第五章 S・O・S!エンジェルス

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「遅いわよ。接敵機動は、もっと早く!」 腫れた顔に湿布とガーゼを当てたヒソカが、指揮台で声を張り上げた。 西東京の一角に設けられた、内務省専用演習場。塹壕から仮想の敵陣地に向かって、隊員たちが前進を繰り返す。 「ずいぶん張り切ってますねぇ、中隊長」 「落ち込んでいるのさ、中隊長(おふくろ)は」 新発田の声に、早川がぼそりと呟いた。「ユウキさんが入院中だからな」 「え?あれで……?」 「新発田。ジープのところで待機していろ。ユウキさんのことで、部長から連絡があるかも知れん」 「了解っス。待機します」 新発田が敬礼して、すたすたと駐車場に向かって歩き出す。それを見送る早川を、ヒソカが厳しい声で呼びつけた。 「曹長!」 「はいっ!」 「各個訓練の出来上がりだけど、どう思う?」 「八割方の仕上がり、というところでしょうかね」 「そうね」頷きながら、ヒソカが言った。「匍匐前進と、激動後の射撃にばらつきがあるわ。もっと、各隊員の練度を上げる必要があるわね」 「はっ……」 「何か、言いたそうな顔ね、曹長」 「い、いえ……その……」 「いいから、言ってみなさい」 「は……。その……どうでしょう……」
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