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「大したものだ、君の職務に対する情熱には、頭が下がる」
糊の効いた迷彩服が、インテリ風の石原に、微妙に似合っていない。それを見ながら、ヒソカは、不思議と苛立ちが納まってくるのを感じた。
「近くの陸上自衛軍の駐屯地で、首都防空部隊の担当者と打ち合わせがあってね。そのついでに寄ったのさ」
「では、やはり……」
「うむ。今朝、星雲三号の燃料注入が開始された。政府の判断では、九十九パーセントの確率で、週末にミサイル発射があるとみている」
「ターゲットは、どこなのでしょう?」
「高句麗の声明では、アメリカ関連施設という以外、目標を示していないが、おそらく在日米軍基地だろうね。
ミサイル撃墜は自衛軍の担当だが、万一攻撃が現実になった場合、内務省軍も重要施設の警備任務に就くことになる。
――君も、極東MLB球場の警備を宜しく頼む。今回のテロで、アメリカさんもだいぶ神経質になっているようだしな」
「ユウキ狙撃犯の情報は、何か、あったのでしょうか?」
「ない。君からの情報をもとに、警察が必死で探しているが、足取りは途絶えたままだ。脱ぎ捨てられたインヴィジブル・スーツだけが、唯一の手がかりだな」
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