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「練習よ。調整しなくちゃ……。投げ込んで、肩を作っておかないと……」
「ユウキ、お前は、昨日まで危篤状態だったんだぞ!」
シーツが外れ、一糸まとわぬ躰が現れる
白磁の肌、豊かな胸と腰。小径を囲む、栗いろの繁み。
そして、狙撃手に撃ち抜かれた胸。そこに開いた狙撃の痕は、ほとんど塞がりかけている。
(何という回復力……)
一瞬、ヒソカが気を取られた隙に、端へ寄ったユウキがよろめき、ベッドの下へ転落した。
「ユウキ!」
「フェアチャイルドさん!」
ジェイナスと看護婦が慌てて駆け寄る。冷たいリノリウムの床に、ぐったりと白い躰が投げ出される。
全身に刺さっていた輸血針が抜けて、血が寝台と床を汚す。裸の背に開いていた輸血針のあとが、見る見る塞がってゆくのを見て、ヒソカは息を呑んだ。
「落ち着け、ユウキ」
「まだ動いてはいけません。さ……ベッドへ」
人間離れした回復に驚く風もなく、駆け寄った医師や看護婦がユウキを寝台へと戻した。
「見てのとおりだ。一命は取り留めたが、容態の安定には程遠い」
「私が、いけなかったのかも知れません。迂闊に病室に入って、彼女を興奮させてしまった」
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