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とは思いますが。彼女がこの極東メジャー・リーグでプレーを始めてから、何度も暗殺の対象になっています。すべて未遂で終わっているとはいえ、彼女の起用は、大きなリスクを伴います。
球場警備の責任者として申し上げます。もう一度、よくお考えを」
「言われるまでもない」
ジェイナスが、サングラスを外した。
鋭い、灰いろの目。十五年を経て鋭さを増した眼光が、女指揮官を射すくめる。
「前島大尉」
「はい」
「私は、極東リーグの日米合同チーム――東京エンジェルスの監督だ」
「存じております」
「私の仕事は、勝つことだ」
「承知しております」
「そして、君の仕事は、彼女の警護と球場の警備。彼女の登板が社会に与える影響を考えるのは、べつの人間の仕事だ」
「……」
「彼女を起用する。そこをどいてくれたまえ、大尉」
「……分かりました」
内務省軍特別警備中隊指揮官、前島ヒソカが道を譲ると、ジェイナスが、球審に向かって歩いていった。オーロラ・ビジョンのスピーカーから、アナウンサーの興奮した声が聞こえる。
「――東京エンジェルス、選手交代の模様です。
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