第四章 カメレオン・アーミー!

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――私、国家主席である全正勲(チョンジョンフン)は、国家を代表し、諸君らに深甚なる感謝の意を表するものである!」 兵士たちは、満場声もない。張り詰めた沈黙が、広場を支配している。 「革命の出発点たる『慈江道(チャガンド)蜂起』より三年。 内戦と混乱は収束し、経済は旧時代を超える生産を記録した。技術は進歩を続け、諸君らの軍団は、高い規律のもと、さらなる精強な集団へと変化し続けている」 元帥服の美丈夫が、数万の群衆を見回しながら続ける。 「私は、諸君らに伝えねばならぬことがある。 我ら高句麗共和国の前進は、陸や海や空といった、従来の領域に止まるものではない。 宇宙。共和国の歩みは、星へ――宇宙へ向かって前進を続けるのである!」 かすかなどよめきが、群衆から湧き起こった。 「宇宙。それは、人類に残された、最後の開拓地である。 そこには、地球に埋蔵された量を遥かに超える生産資源と、開発されるべき無限の空間が広がっている。宇宙開発の能力を有する国家が、宇宙への進出を試みるのは、当然の権利である。 その権利を、不当に侵害する者たちがいる。
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