第四章 カメレオン・アーミー!

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第四章 カメレオン・アーミー!

高らかに鳴る、トランペットの響き。それに、金管とシンバルの勇ましい合奏が続く。 軍楽隊の演奏する行進曲が、紙吹雪舞い散る街に流れる。 高句麗共和国首都、安寧(アンニョン)特別市。舗装された十車線の幹線道路を、国防色の人車の群れが整然と進んでゆく。 一糸乱れぬステップで、行進する歩兵。 そのあとに、装甲車や戦車、自走砲の車列が続き、最後に、巨大なロケットを積んだ戦略ミサイル軍の車輛が現れた。 ――それらが進みゆく先に、巨大な広場があった。 広場の端に聳える、巨大な宮殿。屋上の観閲台に並ぶ人かげは、制服を着た軍の最高幹部たちであった。 整列が完了し、軍楽隊の演奏が終了した。つかの間の沈黙のあと、一人の男が、観閲台の中央へ進み出た。 元帥服をまとった、長身の男。 それが、周囲の老将軍たちに比べて異彩を放つのは、男が彼らより二十歳以上若く、眉目秀麗で、綺麗に剃り上げた禿頭をしていることであった。 「諸君」 艶のあるバリトンが、広場に響き渡った。 「本日、この広場に集結した、兵士諸君。そして、共和国の人民諸君。
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