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第3章 オオカミ少女に気をつけろ
その夜、久々に元奥さんから電話がかかってきた。スマホに表示された名前を見てお、と思い『応答』をタップする。
『潤ちゃん?久しぶり。元気?』
単刀直入、というか。だらだらした雑談なんか受け付けないよって感じの過剰にてきぱきした様子の声に相変わらずだなと思わず苦笑する。
まあ、これでもだいぶましになった方。昔だったら元気?も久しぶりもなく、いきなり本題に入ったに違いない。つまりはそういう人だった。
あれはあれでストレートで気持ちがいいなと内心思ってたけど。会社でも責任ある立場になってきて、次第に世の中で揉まれてきたというか。それなりになあなあって言ったら表現悪いけど。世間ナイズされてきたってことなのかもしれない。
そんな僕の感慨なんかお構いなく、彼女は彼女のペースできっぱりと用件を切り出した。
『潤ちゃんさ。今度の週末、できたら日曜日。どう、時間ある?菜結が遊びに行きたいって。お父さんとしばらく会えてないからっていうの。予定大丈夫?』
菜結は僕と彼女の娘。前にも話に出てきた通り、今年小学四年生になった。それは考えるまでもない、即答できる。自信を持ってスマホに向かって答えた。
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