毒虫

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 くぐもった地虫の声はにごり、ぐぶぐぶと湿った音でしかなくなった。  トウト鳥がむらさきの空に消えたころを見はからって、青い甲虫が土を割って這い出てきた。 「ばかな地虫め。言わねばわからぬものを」  甲虫は口吻(こうふん)をのばし、地虫の腐った肉をぺろぺろと舐めはじめた。
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