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「トウト鳥よ。食うと言うたではないか」
「おまえのくさい肉など食わぬ」
「食うてたもれ、吾はそなたのために胃の腑を毒で満たしてきたのじゃ。触れるだけでいいのじゃ」
地虫は身の内の毒に侵され、ぶすぶすと嫌な臭いを立ち上げて解け崩れていった。そのさも凄まじい様子にトウト鳥は身を震わせ、海老茶の羽根をばさとひるがえすと、寒椿の若葉を二三叩き、はたはたと飛び去っていった。
すでにまなこも蕩けて身内に沈んでしまった地虫は、それでも泣きながら空を見上げ、請うた。
「からだがとけてしまう、食うてたもれ、食うてたもれ」
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