創作編 高校

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 テーブルトークRPG(以下TRPG)、という単語をこの時初めて聞いた。  妖しい。  大変妖しい響きではないか。  RPGといえばドラクエやFFのように、剣と魔法の幻想世界をコンピュータで遊ぶものだ。  それがテーブルでトークとは。オタクくさい。すごくオタクくさいぞ。  当時の私は、TRPGこそがロールプレイングゲームの元祖であり、それをコンピュータRPGが追随したのだということも知らなかった。 「なんだい、そのTRPGというのは」  もしうさんくさい内容だったらスルーしよう。そう心に決めつつ、私は訊いてみた。  彼は得意満面で説明してくれた。 「現実にはいないキャラになりきったりとかするんだけど。魔法とか、ファンタジーみたいな。もう、なりきるわけ。その、実際にはいない人に。そうしたらもう、なんでもできるわけ。テーブルでのトークだから。自分じゃない自分になって、違う世界にも旅立てるし。もう、自由なトークで。なりきってるから。ドラクエやFFは知ってるだろう? それを、テーブルでトークしてやるんだ。君も勇者になれるんだぜ。魔法も使えるし、なんならロボットにだって乗れる。ガンダムは好き? 世界を救おう!」  うさんくさい。  というか何を言っているのかさっぱり分からない。     
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