1.晴天が嫌いだ

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 ほぼ一方的に本の感想を聞かされた。相槌を打つのがやっとなくらい、彼女はよく喋った。彼女も余程辻田作品が好きなのだろう。人と話すこと自体久々だったが、彼女がよく喋ってくれるお陰でテンポ良く会話が進んだ。やはり共通の本について語り合うのは楽しいものだ。  そういえば、お名前をまだ聞いていませんでしたね」  気がついたら名前を聞いていた。あわよくば連絡先も…という下心もあったが、そんな勇気は私には無かった。 「そうだねぇ、まずお姉さんの名前を教えてくれる?」  答えると、何故か彼女は私の【愛こそ全て】の本をひったくり、なにか書き始めたではないか。
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