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自分で素晴らしい本と言ってしまうか、と笑ってしまう。
「お?良い顔になってきたじゃない。なんならバッグの中の本全部にサインしてやろうか?」
「いや、大丈夫です。そんなにいっぱいあったら、価値が薄れてしまう気がして。この1冊だけで充分です。宝物にします」
「たかがサインで宝物だなんて、照れますな。まあ、もう大丈夫そうだね。元気出せよ!人生案外なんとかなるもんだから」
そう言って、彼女はもう行ってしまった。嵐のような人だった。あんなに暗い小説を書く人だから、どんな根暗な人なんだろうと思ったことがあったが、酷いギャップだ。そう思うとまた笑ってしまった。
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