プロローグ

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知らない場所、知らない人、知らない世界。 でもね、未知への世界に対するワクワクする気持ちも、不安も特に僕は持ってなかったんだ。 お父さん、お母さん。お姉ちゃんにおばあちゃん。学校の先生に、友達。 素朴で小さな町。そんな温かい人たちに囲まれて生きてきた。 僕はずっと安穏とした世界で守られていたんだなって思う。 だからなのかな?  こうしたいっていう意欲的なものを僕は持っていなかった。 今までの僕には必要なかったからかもしれない。 でも、今は違う。 欲しいものができた。 守りたいと思うものが。 誰にも譲れない。僕だけの宝物。 そう思える存在。 僕は、僕自身を見つけることができたんだ。 彼のおかげで。 ――ありがとうね、しーちゃん。
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