チュウニさんの純情な感情

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

チュウニさんの純情な感情

A「このカメラは呪われている」 B「えっ」 A「もうこの装備をはずすことは出来ない」 B「ええっ」 A「外見は何の変哲もないが、とても強力で禍々しい呪いだ……創ったヤツは大したものだ」 B「外す方法は?」 A「ある」 B「おお。で、その方法は?」 A「聖なる能力(ちから)を持つ者から、体内へ直に祝福を送ってもらえばよい」 B「訳すと?」 A「お前からのキスが私を救う」 B「色々ツッコみたいんだけどとりあえず俺はいつから聖属性に?」 A「気付いていなかったのか。天空(そら)から遣わされし小さな御使いが、お前に聖なる祝福を与えていることに……」 B「雪も使いようだなぁ」 A「では頼んだ」 B「禍々しいカメラを間に挟んで、チュウニムード全開で?」 A「白き御使いの祝福が降り注いでいる今だからこそだ。今やらずしていつやるというのか?」 演劇部の、次回作イメージ撮影。 それが、どうしてこうなったのか。 見上げてくる彼女の首元には、呪いアイテムとされたカメラを繋ぐ、赤いネックストラップ。 『赤い糸』ではないけれど。 呪いが元ではあるけれど。 2人はこうして、運命で結ばれた……そんなところだろうか。 B「めちゃくちゃなシナリオだなぁ」 A「何と交信している?」 B「なんでも……それにしてもうちの看板女優は、1度演じると、とことんハマっちゃうねぇ」 A「……お前の描いた世界なればこそ、だ」 B「それは光栄」 このキスがカメラの呪いだけでなく── 演じて以降ずっと続く彼女の中二設定も、どうか解いてくれますように。 その呪いが解けても、俺は彼女から離れられないけどね。 だってそっちは呪いではなく、単純で重症な病だから。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!