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チュウニさんの純情な感情
A「このカメラは呪われている」
B「えっ」
A「もうこの装備をはずすことは出来ない」
B「ええっ」
A「外見は何の変哲もないが、とても強力で禍々しい呪いだ……創ったヤツは大したものだ」
B「外す方法は?」
A「ある」
B「おお。で、その方法は?」
A「聖なる能力を持つ者から、体内へ直に祝福を送ってもらえばよい」
B「訳すと?」
A「お前からのキスが私を救う」
B「色々ツッコみたいんだけどとりあえず俺はいつから聖属性に?」
A「気付いていなかったのか。天空から遣わされし小さな御使いが、お前に聖なる祝福を与えていることに……」
B「雪も使いようだなぁ」
A「では頼んだ」
B「禍々しいカメラを間に挟んで、チュウニムード全開で?」
A「白き御使いの祝福が降り注いでいる今だからこそだ。今やらずしていつやるというのか?」
演劇部の、次回作イメージ撮影。
それが、どうしてこうなったのか。
見上げてくる彼女の首元には、呪いアイテムとされたカメラを繋ぐ、赤いネックストラップ。
『赤い糸』ではないけれど。
呪いが元ではあるけれど。
2人はこうして、運命で結ばれた……そんなところだろうか。
B「めちゃくちゃなシナリオだなぁ」
A「何と交信している?」
B「なんでも……それにしてもうちの看板女優は、1度演じると、とことんハマっちゃうねぇ」
A「……お前の描いた世界なればこそ、だ」
B「それは光栄」
このキスがカメラの呪いだけでなく──
演じて以降ずっと続く彼女の中二設定も、どうか解いてくれますように。
その呪いが解けても、俺は彼女から離れられないけどね。
だってそっちは呪いではなく、単純で重症な病だから。
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