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2019年1月31日木曜日。
――その夜、僕は残業だった。
と言っても今の僕は、このyom yom編集部で働く、しがないアルバイトの下読みだ。
残業の内容と言ってもたかがしれている。
「今日の残りの仕事は、と……ああ、yom yom短編小説コンテストの応募作品の確認か」
僕は、愛用している黒い表紙のスケジュール帳で予定を確認すると、早速ロッカーから貸与されているノートパソコンを取り出した。
それを起動させると、自分に割り当てられている原稿の数と作者、及び作品名を確認する。
「へぇ、今回は一人あたま86作品か。 去年に比べるとかなり増えたな。 やっぱり、最近のラノベ流行りが影響してるのか」
そんなことをぼやきながら、僕は早速割り当てにある1つの作品のダウンロードボタンを押し、印刷にかける。
「よし、今日は印刷だけして、本確認は明日にするか」
時刻は夜の11時45分、僕以外誰も残っている者のいない編集部の広い空間に、無機質なプリンターの印刷音が響き渡った。
僕は自席に戻り、スマホでメールをチェックしながら印刷の完成を待つ。
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