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髪がトレイの奥に大量に詰まり、直そうと伸ばした僕の手にも絡みついているのである。
「うわあああ?!」
身も世もあらぬ悲鳴をあげながら、慌ててトレイから手を引き抜く僕。
そうして、床の絨毯に手を擦り付ける様にしながら、絡みついた長い髪を振り払っていく。
「なっ、なんで髪が詰まって……? え、まさか、カミヅマリってそういう……?」
すると、僕が息つく間もなく――まだ紙詰まりを解消しておらず、動かない筈のプリンタがひとりでに印刷を再開し始める。
勝手に動き出し、紙を吐き出し続けるプリンター。
「さっきから一体どうなってるんだよ?!」
僕は激しく取り乱すと、印刷を止めようと、何度もジョブ中止ボタンを押す。
しかし、効果はない。寧ろ、止まるどころか先程よりも速いペースで印刷がされている様だ。
「なんでだ?! どうして止まらないんだよ!」
そう叫ぶと、液晶画面を突き壊す勢いで叩き続ける僕。
すると、排紙トレイから溢れた紙の束がバサリと僕の足元に落ちてくる。思わず拾おうとして手を伸ばし、僕ははっと目を見開いた。
「黒い、本……?」
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