黒・黒・黒

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  2019年1月31日木曜日。  ――その夜、僕は残業だった。 「へぇ、今の僕みたいだな」  僕は作品に俄然興味を抱くと、その先へと読み進んでいく。  と言っても今の僕は、このyom yom 編集部で働くしがないアルバイトの下読みだ。  残業の内容と言ってもたかがしれている。 「今日の残りの仕事は、と……ああ、yom yom短編小説コンテストの応募作品の確認か」  僕は、愛用している黒い表紙のスケジュール帳で予定を確認すると、早速バッグの中からノートパソコンを取り出した。自分に割り当てられている原稿の数と作者、及び作品名を確認する。 「えっ?」  そこまで読むと、僕は全身から嫌な汗が噴き出しているのを感じていた。  何だ、この原稿は……?  僕は恐怖に震える手で原稿を持ったまま、ゆっくりと顔を上げると、ぐるりと編集部の天井を見回してみる。 「まさか、何処かに盗撮用カメラが仕掛けられていて……それで、僕のことを……?」  そんなことをする様な人間が編集部内にいることを考えると、それはそれで背筋が寒くなる様な気もするが、今この瞬間だけは別だ。  
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