黒・黒・黒

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 僕は、どうか人間の仕業であってくれと願う様な気持ちで天井だけではなく編集部の隅から隅までを見回し、調べてみる。  だが、それらしきものは見当たらない。 「盗撮じゃないとしたら、この原稿は一体何なんだ? 何故、この作者は今の僕の行動を知っているんだ……?」  盗撮用カメラが仕掛けられていないとしたら。  やはり、この原稿は――?  僕は其処まで考えると、恐ろしい考えを振り払う様に強く頭を振る。 「いや、ないない。 そんなことは絶対にない。 今は科学の時代だぞ。 幽霊なんているもんか」  そうして僕は、スマホで検索エンジンを起動させると、他に誰かを盗撮する方法がないかを検索する。  途端に画面に表示される、百万件以上の検索結果。僕はそこから、この編集部で出来そうな盗撮の方法を探していく。  すると、検索結果の一つに、相手のパソコンを遠隔操作し、搭載されているウェブカメラで相手を盗撮するという方法が書かれているのを発見する。 「成る程、ウェブカメラか」  僕はそのページをクリックすると、詳細に目を通す。
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